地盤の動きがひと目でわかる … 斜面変状の「見える化」
ヘンイミエール
地盤の動きを10m離れた場所から「見て」確認できる。
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斜面の上と下に単管杭を立て、上の単管に本体を固定、下の杭との間にワイヤーを張って針を合わせるだけ
現場状況や目視する人の視力にも依存しますが、大抵の現場で斜面の斜め下から針の動きを見ることが出来ます。
完全に機械式で電気回路などはありません。構造が単純で故障しにくくメンテナンスも容易です。
インバー線に何かが引っ掛かったら取り除くぐらいでしょうか。
目盛り板を見えやすいよう大きくしたため、本体ケース自体は大きめですがアルミ合金製なのでそれほど重くはありません。
2.3㎏(本体1.5㎏+取付金具0.8㎏)
・擁壁施工で背後の斜面の崩壊が危惧される場合
・道路拡張や側溝のため斜面下で地山掘削や床掘を行う場合
・管路埋設のため斜面下で掘削を行う場合
・堤防補強工事で堤防斜面の監視
施工業者のための斜面崩壊による労働詐害ガイドブック
(一般社団法人全国地質調査業協会連合会)より
施工業者のための斜面崩壊による労働詐害ガイドブック
(一般社団法人全国地質調査業協会連合会)より
斜面の変状に早く気付いて避難することが出来たなら、このような事故は起きなかったのかもしれません。
ぬき板(ぬき丁張)を使う
地すべり防止技術指針及び同解説 平成20年4月 国土交通省砂防部 独立行政法人土木研究所 より
安価だが設置と連絡が難しい
丁張を危険な場所をまたいで設置し、渡した板の途中を切り抜いておき、
切り抜いた間の距離をノギスなどで計測する方法です。
人がその場に行って隙間の幅を計測し、前の値と比べて動きがあれば、皆に危険を知らせます。
材料費は高くはありませんが、設置は意外と面倒です。
また、計測に行く人は安全なのでしょうか?
WEB観測システムを導入する
WEB観測システム「LoRaのび太安全管理システム」
費用が高額で設置に時間がかかる
本格的なWEB観測システムを導入すると各種通信機やデーターサーバーの準備、
個々の持つ端末(スマホなど)の準備にある程度の時間と費用ががかかります。
危険性が高ければシステムの導入も仕方ありませんが、
小さなクラックが出たなど大きな危険性は無いと思われるが「念のため」というにはかかる費用が大きすぎます。
ヘンイミエールを使う
ヘンイミエールはぬき板とWEB観測システムの中間に位置する「安全管理器具」です。
ただし、ヘンイミエールは簡易的な伸縮計であり測定精度は高くはありません。
「針が動いたら退避」という「逃げるタイミング」を与える安全管理器具としてお使いください。
危険度が高く高精度の計測が必要な現場では本格的なWEB観測・警報システムをお使いください。
例えば、擁壁などを設置するため地山を掘削し、その下で作業を行う場合、
上方の崩壊する危険のある斜面にヘンイミエールを設置し、
作業員が常に斜面の動きを確認しながら作業を行います。
下図の左のように斜面の途中に亀裂(クラック)があり、亀裂をまたいで設置された設置されたヘンイミエールの針の指す値を
10分毎に記録して地盤の動きをグラフにしたとすると地盤の動き始めから崩壊に至るまでは下図右側のグラフのようになります。
グラフの赤線がヘンイミエールの指示値(地盤の初期値からの動き;累積値)を示しています。横軸は掘削開始からの時間(分)です。
この場合、掘削開始20分後から地盤が動き始め、約60分後に崩れています。
このため、崩壊の予兆となる1㎝程度の動き(※)で避難すれば、大きく崩れる前に避難が完了する、と考えられるわけです。
法面は前触れ無くいきなり崩れることは稀です。
斜面の掘削や降雨(もしくは降雨による地下水位の上昇など)により崩れる場合、
通常は最初に予兆となる小さな動きがあり、その後、降雨量に応じて動きは加速し、崩壊に至ります。
ヘンイミエールの運用目的はこの最初の小さな動きをいち早く見つけて法面の下から退避することにあります。
もちろん、途中で地盤の動きが沈静化し、結局崩れなかったということもあり得ますが、
それを見定めてから退避するのでは逃げ遅れます。
ヘンイミエールの針が動いたら「空振りになることも承知の上で、先ずは退避する」
と皆に周知させておくことが大切です。
動点杭とヘンイミエールとの間に張るワイヤーにはオプション(別売)のインバー線のご使用をお勧めします。
インバー線とは温度変化に対して膨張・収縮率が非常に小さいインバー合金で出来た線です。
42インバー線(ニラコ製)10m巻(別売り)
ここでご紹介する設置方法は標準的な(土の斜面に杭を打ち込んで設置する。ワイヤーに付属のインバー線を使用する)方法です。設置場所がコンクリートや岩盤の上なら鉄筋やアンカーを用いて杭を立てます。
地表面の観測したい2点間の両端に単管杭を打ちます。
動点杭はその地盤が動くと予想される場所(斜面に亀裂などがある場合は亀裂より下側)に打ち、不動点杭はその地盤が動かない場所(斜面に亀裂などがある場合は亀裂より上側)とします。
不動点杭にはヘンイミエールを取り付けるので単管を打ちます。動点杭は単管、または、インバー線が固定できるなら木杭や鉄筋でも可能です。
※)ご注意
動点杭側にはインバー線を固定するワイヤー固定金具(垂木クランプなどワイヤーを結べる場所があるもの)を取り付け、ヘンイミエールは背面の取付金具のクランプで単管に固定します。
この時、ヘンイミエールの指示針は指で押してゼロ付近(だいたい「ゼロ」なら良い)にしておきます。
※)ご注意
インバー線は、先に動点杭側から結び、その後、ヘンイミエール側のSUSワイヤーと結びます。
斜面下の動点杭の固定金具(垂木クランプの場合、木ネジ用の穴の何れか、など)にインバー線を結んだ後、
ヘンイミエール側に行き、ヘンイミエール本体からワイヤーを少しだけ(1㎝程度)引き出してインバー線を結び、
手を離した時にインバー線がたるまないように張ります。
インバー線を張った後、指示針のゼロ合わせを行います。
ヘンイミエールの指示針は、ヘンイミエールと動点杭の間のワイヤーを張った後、両面の指示針を目盛りの「0㎜」の位置(※)
に合わせながらワイヤーを揺すって緩みをとり、針の先が0の位置で止まるようにします。
※)ご注意
指示針を最初に0mmに合わせる場合、ワイヤーが伸長方向(ヘンイミエールからワイヤーが引き出される方向)
に動く場合のみの観測となります。
もしも不動点側が下に移動する(または動点杭が上方向に移動する)などインバー線が圧縮方向(ワイヤーがヘンイミエールに引き込まれる方向)
に移動することが予想される場合は、最初にヘンイミエールからワイヤーを3㎝以上引き出した状態でインバー線を張り、
支持針を目盛り板の3㎝の位置に合わせ、以後、針の動きをマイナス方向で見る(例えば1㎝圧縮なら指示針は2㎝の位置に移動)ということになります。
伸縮・圧縮のどちらに動くかわからない場合、ワイヤーを2㎝程度引き出して初期の指示針の位置を目盛り板の2㎝に合わせておき、
そこから伸縮方向・圧縮方向のどちらに動いても分かるように(この場合、伸縮・圧縮それぞれ片側1.5㎝までの動きしか測れません)しておくなど、
使い方に工夫が必要です。