コスト縮減と地質リスクの関係

H23.11 永田 和之



 地質リスクの説明を、学会活動の流れから以下に取りまとめた。


 1.土木学会、地盤工学会

 公共事業の縮減と維持管理の必要性か ら、アセットマネジメント(資産管理)、LCC(ライフサイクルコスト)の考え方を導入し、土木施設の長寿命化計画なるものが提案される。
 高度成長期に構築された多くのトンネル・橋梁などが50年を経過し、米国のミシシッピ川の橋梁崩落事故を契機に、耐久性とメンテナンスの計 画が論じられる。


 2.地盤工学会(委員会)

 地盤工学会では、地盤工学におけるリ スクマネジメントとして、以下の項目でワーキンググループ毎に研究を行っている。

  1. 地盤リスクの事例調査
  2. 法律・判例の事例調査 
  3. 保険・保証に事例調査
  4. 契約に関する事例調査 

 3.地質リスク学会、全国地質調査連合会

 建設事業のコストに占める重要な要素 が地質調査であり、地盤の不確定要素を明らかのするためには地質調査が必要である。地質リスクを『地質に係る事業リスクと定義し、具体的には 事業コスト損失そのものとその要因の不確実性を指す』と捉えた上で、これらの仮説の検証・確立・普及を目指して活動している。

  1. 地質調査を含む地質リスクマネジメントの価値の計量化、
  2. 全てのリスクの要因を抽出し、適宜それらの回避・低減などを図っていく新しいリスクマネジメントプロセス手法の構築・実施、
  3. 国民・納税者への説明責任を果たすために、 き△鯣注者の側に立って実施・支援する地質技術顧問という職能の確立 

 4.今岡技術士の解釈(北陽技建株式会社)


 地質リスクのアウトリーチ(非専門家への広報)に関する提言の中で、地質リスクについて、『日本の地質は複雑で不確実性があるので、ちゃん と地質調査しないと施工時に手戻りや設計変更で損失が増えるよ。逆に地質調査をしっかりやれば、その分コストはかかるけど施工時の損失よりは 格段に小さいから、結果として事業のLCCを最小化できるよ。だから地質調査はちゃんとやろう』と解り易く分析している。


「地質と調査」2011年第 3号掲載の論文「地すべり災害において実施したリアルタイム監視によるリスク管理について」(藤井 勇ほか)